これって本当?〜監視社会は安心社会

Facebookユーザーデータが政治&選挙データ分析会社Cambridge Analyticaによって不正利用されていたというニュース。イギリスのEU離脱投票やアメリカの大統領選挙結果に影響を与えていた疑いが大きくなってきています。日本では情報流出とか言っている人がいますが、流出ではありません。強いて言うなら、不正流用が正しい。毎度、適当な記事が多い多い。

インターネットサイトのトップページに何故、星占いや誕生日占いがあるのでしょう。また簡単なクイズやアンケートもそうです。サイト運営者の目論見は、利用者のプロファイル=属性の把握にあります。つまり個人情報の入力をさせずに、男性か女性か、何歳(ぐらい)か、何が好きかなどを、大まかに把握することが目的です。
インターネット初期からつい最近まで、その程度のユーザー情報しか集められませんでした。個人情報ではない、統計的なデータなのに、パソコンやスマホで「あなたがお使いのサイトの利用データを採らせてください、個人はわからないようになっています。」とアナウンスしても、なかなかイエスと言ってもらえなかった時代が長かったのです。
余談ですが、P2Pがあれほど嫌われた理由の一つに、ノードになることは他人に土足で自分の敷地に踏み込まれるように感じたからでしょうかね。Bitcoinを支える中核技術、ブロックチェーンの基本的な仕組みはP2Pです。名前が変われば、ですかね。


個人情報提供許諾のハードルは高かった。その時代を知っている者とすれば、インターネット接続テレビ(スマートテレビ)の視聴ログの提供にOKと言っている世帯が2017年11月時点で48万を超えているというニュースは、なかなか驚くべきニュースです。いつの間にか、スマートテレビの視聴ログがこんなに集まっているなんて、驚きです。ログ提供に関する抵抗感が下がっているのでしょうか。現時点では、まだ世帯に偏りがあるそうですが、やがて視聴率を凌駕するデータになるかもしれません。ビデオリサーチのデータは関東でも900世帯ですから。

Facebookの話、68項目への「いいね」のビッグデータから85%の確率で支持政党を当てられる高精度のモデルを持っていたCambridge Analytica。簡単なアンケートが実は、選挙の行方を左右するデータの取集方法につながっていたのです。Facebookは無料で便利な仕組。でもそれは、利用者のデータを高額で売っているからこと成立しているのです。では、ユーザーデータを利用されることは、そんなに脅威なのでしょうか。

妙な例を思いつきました。日本で銃を持つには、猟銃所持許可を取るしかありません。でも、そのハードルがとても高いのです。筆記試験だけではなく、警察での面接、警察による近所での聞き込み、そして精神病や麻薬・アルコール中毒者でないことを証明する診断書などなど、何度も行われるスクリーニングと束のような必要書類への耐性が必須です。あなたが“ちゃんとした”市民だという証明が必要なのです。そんな手続きの果てに、やっと銃の所有が認められる。警察は、どこの誰の家にどんな銃があるか把握している。そこにある弾の数も把握している。だから銃の乱射事件はまず起きない。でも健康データも含む個人情報と引き換えです。

AmazonクラウドサービスAWSの年次大会が毎年11月に行われます。昨年の大会で、密かに耳目を集めた発表がありました。CIA=アメリカ中央情報局が、オンプレミスではなく、全てのデータを2020年までにAWSに置くという計画を発表したのです。理由は、彼らが取り扱う情報の量が、爆発的に増加の一途をたどっているから。そう、その情報とは映像や音声、そしてSNSデータのことでしょう。さまざまな方法で(違法に?合法的に?)得られた個人情報がクラウドに置いてある。なんかちょっと変な感じ。

海の向こうのフェイスブック不使用運動を見ている日本の皆さん、大好きなLINEの親会社が韓国企業でデータが筒抜けになっている可能性があるなんて気にしていたことなんて、もう忘れてるでしょう。

中国がモバイル決済大国であり、その勢いから世界標準になるのではないかと言う人がいます。でも、もともと、銀行システムなどの金融インフレが整わず、小売商の多くが現金決済を好み、クレジットカードが普及していなかったことなどの「中国に固有の構造的な要素」による結果です。それはまた、テンセントのWeChatとアリババのAlipay以外に決済の選択肢が無いという独特の構造も同様であり、決済の選択肢がこの2つに限られるということが、そのまま日本に持ち込まれるわけではないでしょう。また、スウェーデンでは、ほぼ完璧に近いキャッシュレス化が実現されているという例もよく引き合いに出されますが、これも同じ。その国固有の構造的な要素が理由だということを全く無視して、日本が遅れていると言われたって。そもそも、電子決済を進める前提には、誰かが個人情報を一括管理しないとならないのですよ。

中国では、政府のビッグデータの国家規模での事業インフラ化が進んでいることから、それを称してデジタルレーニン主義という言葉で表現されています。この流れの一つに、人々のスコア化があります。アリババが手掛ける「芝麻信用」という、ビッグデータから各人の信用度を数字で算出するサービスです。このサービスは中国が徹底した監視社会であり、政府が個人情報を一元管理してきたことと結び付いています。最近、中国のケンタッキーでは顔認証で商品購入出来るようになる実験を開始した、日本でも云々という記事がありました。これは、全国民の顔認証のデータベースがある国ならではの話です。フライドチキンを簡単に買うことが出来るようになるからって、顔認証データベースが日本で出来るわけないでしょう。デジタルレーニン主義が前提です。話の順番が違うことに気づいてない。

僕の友人のお父上。ある要職にお付きの方ですが、その方が中国へお仕事で行かれた時のこと。とても偉い方なので、昼は視察と会議、夜は宴席という日程が続き、多少体調を悪くして、ある夜、宿泊されていたホテルで、思わず具合が悪くなったそうです。大したことはなかったのですが、彼が驚いたのは、その直後にドアがノックされ、ホテルの従業員が様子を見に来たことです。

そう監視と安全は紙一重です。近い将来、ビッグブラザーの元、サイバーダイン社のスカイネットに全ての個人情報が管理されるようになっても、ビッグブラザーが“いい人”だったら、安全な社会になってよかったいいじゃないか、になりませんかね。
ちなみに、我が日本の政府は、マイナンバーシステムの不甲斐なさからすると、本気度が足りないというか、わかっていないというか、まだまだビッグブラザー度が低過ぎ。

 

 

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

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だいたい一般人のあなたや僕のデータなんて、ビッグデータの一部だという以外に、何の価値もありません。皆さんが、Facebookを使わないのは何とか出来るにしても、LINEを使わないなんて、無理でしょう。僕は使ってないけど。
最近、「キャッシュレス化が進む世界から周回遅れ」と題して、日本では電子マネー決済市場が停滞しているとか、キャッシュレス化が進まないなどと書いている記事が増えています。そのベースとなる個人情報をどのように扱うのか、その議論も無しでは進められないのに。経済評論家という人々には、「富裕層では」「海外では」と書く、出羽守(でわのかみ)が相変わらず多いようです。