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アマチュアのプロレスラー

昔、ある大学の学園祭に行った時のこと。プロレスのリングがあり、そこで結構、華やかなファイトが繰り広げられていました。闘っていたのは、どこかの団体に所属している“プロの”プロレスラーではなく、アマチュアの人々。レスラーの1人は有名プロレスラー、ボボ・ブラジルさんの名前を捩って、ボボ・ラブジルというリングネームでした。アマチュアのプロレスラー、ボボ・ラブジル(繰り返さなくっていい?)

そもそもアマチュアのプロレスラーとは、どのような存在なのでしょうか。インターネットの世界には、このような人たちがたくさんいらっしゃいます。

大型連休の間は、ほとんど他人のブログを読んでいませんでした。8日月曜になって、しばらくぶり、愛読(?)しているBLOGOSを見たり、インターネットの話題の記事を見たりして、面白い記事が山ほどあったので、なんとなく愚考とともに。

タイトルに誘われて読んだNewsPicksの投稿「素人の写真がプロの20倍以上の値段で売れる理由」。インスタグラマーによるブツ撮りサービスが好調だという記事ですが、中身は「へー、なるほどな」という内容です。でも、この文中で、筆者がご自分の活動のインパクトを「素人革命」と表現しているのですが、これなんか変。この「素人」とはどういう意味でしょうか。少なくとも、お金を貰っている時点で、プロなのではないでしょうか。納期を守り、請求書を出し、そこから生まれた所得に対して税金の処理をする。そして一番重要なことは、発注者から要求された水準以上のものを表現することですよね。素人の自分がプロに勝ったと言いたい?でも、それは素人だった自分が、プロとして新しい一つのビジネスモデルと作ったということでしかないのでは。革命ではないでしょう。写真のような表現の世界は、既存の感覚を乗り越えたものが出現し易い世界です。
また、文末に「パラダイムは刻一刻と変化しているのだ。」という一見、正しい、かっこいい表現のような文章でシメていますが、この文章にも違和感が有ります。パラダイムは「範」とか「物の見方や捉え方」というような意味ですから、一旦、確立しないと、それはそもそもパラダイムではありません。つまり「刻一刻」と変わっていくのなら、それはパラダイムではないのでは。「パラダイムシフト」という良く使われる表現は「革命的かつ非連続的に変化する場合、またはその変化のこと」という意味だとあります。(三省堂ワードワイズ・ウェブより)この文章、「刻一刻」という連続性を感じさせる言葉が入ってなければそれほど違和感は感じないのですが、せめて「新しいパラダイムが生まれつつある。」程度の表現が正しいように感じます。

BLOGOSで「TVの劣化を表すキンコン西野騒動」というタイトルの文章。ブログの内容とタイトルは若干、齟齬を感じますが、このブログも少々、意味のわからないものでした。問題を指摘するだけで、なんの解決策も提示していないからです。キングコングの西野さんという人はよくわからないのですが、このブログ、天に唾する発言ですよね。テレビが劣化しているとかはどうでもよくて、劣化した教育を受けた人が従事していることが問題なのではないでしょうか。少なくとも、筆者は大学教授ということで、教育者ですよね。メディア系の講座を持っているのなら、その卒業生は大丈夫なのでしょうか。少なくともこの先生は、ご自分がまともだと思う人を社会に出しているのでしょうか?まとめに「このディレクターのような作り手が制作の現場にいて、コンテンツであるタレントさんたちに現場で接してしまうことで、タレントのポテンシャルを引き下げ、番組のクオリティ低下を誘発させてしまう事例もあるのではないか」って。これはどんな職業でも同じでしょう。だから、どうすればいいのでしょう、あなたの危惧はわかったから、どうすればいいか教えてくださいよ、と思わせるブログの典型です。

おなじくBLOGOSで、ディズニーの映画「美女と野獣」の感想を書いていらっしゃるブログが、ピックアップされていました。個人的な感想文なので、内容は別に気にならないのですが、以下の一文に引っかかりました。

エマ・ワトソンさんも「ララランド」に続いて歌うシーンが多いのですが、本当に役に恵まれているというか、「フィールド・オブ・ドリームス」から「ダンス・ウィズ・ウルブズ」の時期のケビン・コスナーを思い起こすような勢いです。

1つの大きな間違いと、少々疑問がある表現があります。そう、1つはエマ・ワトソンさんは「ラ・ラ・ランド」には出演していません。エマ・ストーンさんですよね、主演女優は。この人、本当に映画を見ているのかな???
それから、ケビン・コスナーに関する表現もちょっと変。『「フィールド・オブ・ドリームス」(以下、筆者略「 F」)から「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(以下、筆者略「D」)の時期』と書いていらっしゃいますが、公開年月が「D」は1989年、「F」は1990年。その間に公開されたケビン・コスナーの映画は2本。そしてどちらも、全く話題になっていません。どんな「勢い」だろう???たった1年間のこと?この文章、全く意味を成していません。気づかなかったのでしょうか。この文章だけ?日常的に?何でこの人の、このブログがピックアップされたのでしょうね。考えてみれば、BLOGOSの仕組みを知りませんでした。

ブログでも、何だかなぁ、という文章がありました。ボクシング未経験者が、日本人初の3階級制覇を果たした元ボクサーの亀田興毅さんに挑戦する「亀田興毅に勝ったら1000万円」という企画が、5月7日にインターネットテレビのAbemaTVで生配信されました。拝見してはいないのですが、確かに、おっどうなるんだ、と思わせる企画です。結果として、視聴者が殺到して、サーバーが落ちたとのことです。おそらく想定外の接続数だったのでしょう。想定できなかったんでしょうか。対策も持ってなかったのですかねぇ。
その数字に関しての関係者のブログで「歴史的一歩」って。自画自賛。感極まっていらっしゃるのかしら。でも亀田さんは失礼ながら、テレビの出涸らしキャラですよね。そのキャラを使った企画。テレビでは出来ないこと、ではなく、テレビではやらないこと、なのでは。彼らの目標は何なのでしょうか。テレビになりたいのでしょうか。タイムラインとして次々と消費される動画に大量の広告を着ける事が出来ればいいというだけのこと?一番気になったのは、サーバーが落ちたことを自慢しているように見えること。どうなんでしょう。少なくとも反省のお言葉はないですね。サーバー落ちを自慢するのは、10年前の感覚です。さらに社長の言葉を引用して「競合らしき競合は出る気配もない」。うーん、83億(2016年9月通期の連結決算発表から。AbemaTV単独ではないようですが。)の赤字事業ですからね。「現時点で収益を成り立たせようとは1ミリも考えていない」という事業に「競合」は出ないですよね。
ところで、業界内イベントでも、AbemaTVの方々は結構、どうかなと思うことを仰っていて、ある時、ご自分たちが「AbemaTVは世界初の24時間ライブストリーミング」とか、仰っているのを聞いたことがあります。そんなことはないでしょう。以前からありますよ。ウラを取りましょうよ、自分の発言の。

そして、ちょっと意地悪な横道逸れですが、間違い探しが楽しい「食べログ」。あるとんかつ屋さんについての口コミで、『小さいアサリが入っている味噌汁』とありました。って、アサリではなく、シジミでしょう。だって、シジミくらいのサイズのアサリが食用として流通するはずないもの。ここまでくると、何だかなぁって感じ。

既存の権威のようになってしまっているものを超えて、素人が新しい価値や感覚を容易に持ち込む事が出来るのが、インターネット時代(ちょっと古い言い回しですね)ならではの利点です。でも、素人であることが手段になると、WELQに端を発したDeNAのコピペ問題の病根と同じところに堕ち込みます。また一方で、実はプロが素人を装って、発言することが出来るのもインターネットです。使い分けているケースが結構ありますよね。責任者の一端に連なっているのに、実際に発生したことから都合のいいことだけを発表するのは、一種のフェイクニュースでしょう。
いやいや、「俺は、私はニュースなんて書いてない。ただのブログだ。」って?拡散されたいのでしょう。拡散されたら、それは受取り手にとってのニュースになります。だからフェイクニュース。特に“中の人”が書いたら。

ご存じかと思いますが、テレビや新聞の記者やディレクターは、記者やディレクターになるにあたって、なんらかの資格があるわけではありません。取材やロケなどの現場経験によって磨かれ、一人前になる。OJT(On the Job Training)を通してだけです。現場で育つ。このトレーニングの過程の中で、自分の原稿や番組は、何人かの目を通ってから世の中に発表されるのが、当たり前の段取りだと叩き込まれます。仕組みとしての校閲石原さとみさんのドラマのアレですよ)や試写です。これによって、最低限の間違いは(最近はそうでもないのですが、それはまた別の話。)無くなります。もちろん、たくさんの人が事前に目を通すことで、エッジが無くなったり、別の思惑に引っ張られたりすることもあります。でも、この課程で受ける厳しい批判や小さな賞賛が、一番、トレーニングになるのです。(念のため申し上げておきますが、既存のマスコミを賛美しているのではありません。悪しからず。)

人間の脳の最大の特徴は、ストーリーを作ること、と聞いたことがあります。(すいません。この話、ウラ取りしてません!)それが想像力や直感の元となり、結果として文明を発達させることが出来たのだとか。
何が言いたいのかと言うと、思い込みって、結構あるということを悟りましょうよ、ってこと。だから、発表前にせめて事実関係くらいは確認しましょう。
だって、ブログを書いてる皆さん、他人に見てもらいたいんでしょう。

マチュアのプロレスラーの一人として自戒を込めて。

 

5月12日、訂正箇所あります:言っておきながら、公開してから間違い発見。ディズニーのくだり、映画名の省略で「F」と「D」がごっちゃになってました。それから、サーバーエージェントさんの決算に関する記述で「通期」が「通気」になっていましたので、そこも修正しました。失礼致しました。