冬の散財感想戦 (3)靴編

映画「 64」、ご覧になりましたか。刑事上がりの広報官である主人公が、キャリアの県警本部長から靴の光り方が足りないので、嫌味を言われるシーンがあります。靴を自分で磨くのか、奥さんに磨いてもらうのか。はたまた、最近増えた、おしゃれ靴磨きさんに頼むのか。(このシーン、TV版にあったかなぁ。ピエール瀧さん、よかった。もっとも電気グルーブのステージの上の彼を見たことがあると、この人、テレビに出ていいのかしらと思う今日この頃です。)

64(ロクヨン)

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64-ロクヨン-前編 通常版DVD

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64-ロクヨン-後編 通常版DVD

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さて、靴磨きを常習化するには、何が大切がご存知ですか。そう、マスト要件は靴を磨きやすい玄関です。長時間の作業に耐え得る環境が必要なのです。何せ、お腹が出ていると、前屈姿勢を長く続けるのは、とても苦しいので。残念ながら、僕の家の玄関はちょっと厳しい。もちろん、ご自分のdenで磨く方には関係ない悩みですが。よって、僕は靴磨き屋さんにお願いする一方です。

 

元々、靴を持ち過ぎなのでしょう。 ジョン・ロブ(John Lobb)を2足、WilliamとWilliamのブーツは東京で買いました。両方、黒。オールデン(Alden)のコードバンのチャッカーブーツを2足。黒は東京で買いました。茶色はハワイで買いました。ご存知かと思いますが、あの常夏の楽園に、よい革靴屋さんがあります。真夏のハワイ、冷房の効いた室内で、Aldenコードバンを試し履き。ちょっといいですよ。なんと言っても安いのです。ハワイで買うと。

Berrutti(ベルルッティ)を1足、これはカンヌで買いました。そして ジェイ・エム・ウエストン(J.M.Weston)を3足。この道に入ったきっかけは WestonのGolfのブーツを買ったこと。黒でした。1996年のことです。日本向けの特注品だったようです。2回直して履いてます。

1997年にパリで買い足した黒のGolfは、まさにハードフィッテング時代(注・僕的命名)のWeston経験でした。超ピッタリのサイズを出してきて、その上、ぐいぐい靴紐を締め上げてきます。この古のWestonのフィッテング、松任谷正隆さんや波多野聖さんこと藤原敬之さんも書いています。福田和也先生は買いてたっけなぁ。

 

贅沢入門

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「贅」の研究

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カネ遣いという教養 (新潮新書)

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僕の散財日記 (文春文庫)

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履いて歩いた日、足が痛くなるだけではなく、途中で頭がクラクラするくらい痛くなりました。さらに靴擦れ。しばらく履かずに放って置いた程です。でも懲りずに、茶色のGolfをカンヌで2010年に買いました。パリで貰った、僕のサイズを書いたカードを持っていたので、それを見せて書いました。この茶色はあまり問題なく、足に合いました。違いはなんでしょうかね。最近のパリのWestonでは、厳しいフィッテングでは無くなったようです。

前口上が長くなりました。夏以降に買った靴は5足。意外に少なく。その中で、旅のために(と称して)買った靴が2足あります。

Westonのハードフィッティングからの連想ではないのですが、日本人は足が浮腫みやすいと言いますが、朝と晩を比べても、足の大きさがずいぶん違うのでしょうか。なので、飛行機から降りる時、堅い靴だと入らない。着陸姿勢に入るタイミングで必ず靴を履くようにしているのですが、その時に全く足が入らないことがあったのです。旅のお供として最近は、ニュー・バランス(New Balance)の1400を履いていました。United Arrowsの創業25周年記念版モデルでナチュラルブラウンです。グローブのようなよい革です。

でも、毎度の悪い癖で、移動用の靴を1足増やしたいと思っていたら、GQで「羽(PLUME)」という名前の靴を発見しました。元々はリボンメーカーだったスイスのブランド、バリー(BALLY)の靴。どちらかと言うと、自分の年では選ばないブランドだと思っていました。でも足を入れたら最高!(自分でも分かっている悪い癖なのですが、試着または試し履きすると買ってしまうのです。危険。)カンガルーレザーでスニーカーのような軽い靴です。銀座の東急プラザで買いました。このお店の靴コーナーには、素晴らしい靴磨職人がいらっしゃいます。靴に対する愛情が溢れています。この初めてのBally、初夏のサンフランシスコへの旅で履いて行きました。勿論、帰って来てから、磨いていただきました。

HERMESエルメス・正しい綴りは「E」にアクセントがつきます)で買ったのはスリッポン、名前は「milano」。薄いソールの軽いスリッポンです。これを買いたいと思ったのは、秋口でした。ちょうどヨーロッパに行く用があったので、現地での値段を調べると、ポンド建がいちばん安いこともあり、ロンドンで買うつもりで臨みました。

日曜日のロンドンのエルメス。確か、いちばん面積が大きいニューボンドストリート店。しかし店内は、中国語を話すお客さんで大童。中国語を話す店員さん以外の店員さんにも話しも出来ません。そこで、レジ担当のお姉さんのところに行きました。探しているモノのがあるんだけど、と言ったら、「私は接客できないわ、でも誰も対応できないわね。日曜はいつもこんな感じなのよ」。イギリスでの品番がわかっているので、お店にあるかどうか見てもらえないか頼みました。結果的にはイギリスのエルメスでは、僕に合うサイズが既に売り切れ。日本に戻ってから、銀座で買いました。初めてのエルメスの靴、オーストラリアへの旅に履いて行きました。

 

老舗の流儀 虎屋とエルメス

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この2足は僕の服飾文化(!?)に革命的な影響を与えました。パンツの丈です。最近の裾上げ業界 (そんなのあるんかい!)では、「ワンクッション」」という概念が消えつつあります。脛が見えるのが嫌いなので、夏でも所謂ハイソックス(ホーズですね)を履いている僕は、今迄、トム・ブラウン(Tom Brown)のようなツンツルテン感満載なルックは、「ちょっと勘弁してねぇ、服はいいけど」でした。しかし、この2足のソールの薄い靴は、踝辺りにストンと落ちた感じの丈を要求します。そして僕は屈しました。あらゆる意味で、革命の夏でした。

第89回アカデミー賞授賞式では「La・La・ Land」主演の2人、ライアン・ゴズリングエマ・ストーンが踊っているシーンが度々、フィーチャーされていました。軽やかなステップ。2人の足元はどんな靴なんだろう。

春になり、また旅をする頃になると、新しい靴を買ってしまいそうです。